第1章 不可思議な意見

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とある町の、とある角の一角にその店はある。 スイーツ屋「TAKANO」。高野さん夫婦で経営している。 駅からもほどほど近く、もう少し西に行けば大きなオフィス街もあり、かつここは、住宅地の目の前だ。これほど立地がいい所はない。その良さもあってか、TAKANOはかなり繁盛している。 高野守。TAKANOの店長であり、重要なパティシエ。彼の朝は早い。 TAKANOの目玉商品はパウンドケーキ。パウンドケーキは一晩ほど寝かしておくと、さらに美味しくなる。その準備のため早起きしているのだ。 毎朝4時には起きて、店の厨房に向かう。パウンドケーキの仕込みをする。店にパウンドケーキが並ぶのは午後。 朝ごはんを食べるために二階へ行く。その時ふと、目に止まるのがあった。ご意見Boxだ。たまにだが、意見用紙が入っていることがある。なんとなく気になり開けてみた。案の定、一枚だけだが入っていた。                     『林檎が出来なければさらいます』 と書いてある。                (なんだこりゃ?)        誘拐か。しかし林檎が出来なければ、が分からない。 ひとまず、守はその紙を持って二階へ行った。
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