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「あ……」
耳まで熱くなってきて、わたしは下を向いた。
「もう、それ言わないでください……」
「いいじゃねえか。俺、結構あれ嬉しかったし、いまだに嬉しいけど。他にもっと若ぇの居るのに、俺かよ、ってのが」
「ほんともう、許してください……」
笑って、彼は片手を伸ばしてわたしの頭を撫でた。
「……じゃ、悪いけど頼むな。明日」
「……はい」
――――と、答えたものの、実際じゃあ行ったらどういう顔をしていればいいんだろう、と考えしまって、昼休みに江崎さんに相談した。
話を聞くと、江崎さんは数秒フリーズした。
「……この前、涼子のお父さんと彼会ったんでしょ?……何着々と話進めてるのよ」
「いや、そういうことじゃなくて、今話したじゃないですか。事情」
「それは分かったけど、でもどっちにしろ結婚前提で相手の親のところに挨拶行くのは同じでしょうが。むしろ、普通に行くより難易度高いことになってるじゃん」
確かに、そうなんだけど。
彼は堂々としていればいいと言ってくれたけど、客観的に見て江崎さんの言う通りだ。
「……難しいですかね」
「いや。涼子の場合、おじさんはブレないだろうから、その点大丈夫だとは思うけど……ていうか明日でしょ?服とか、手土産とか、どうするの?」
「あ」
全然、頭になかった……。
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