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お待たせしました、と店員さんがわたしたちの注文したランチプレートを持って来た頃、ちょうど土曜日の話が終わり、店員さんが去った後で江崎さんが言った。
「それ、あたしなら殴り返してるわー。……いや、そりゃそれまでの関係もあるし、涼子の場合はやり返したり口答えしたり許されない状態だったのかもしれないけど、あたしなら、やり返してそのまま絶縁だなー……」
宙を見上げて、何度も江崎さんは頷く。
「すいません。変な話して。あんまり人に言うことじゃないから、そのつもりなかったんですけど……」
「ああ、全然いいよ。むしろそういうの人に吐き出した方が楽になるじゃん?あ、食べよ」
「はい」
ぐさっとフォークでエビフライを突き刺して一口食べて江崎さんは言う。
「そういうの、自分だけで抱えてると、すっごい大きなことみたいに思えて潰されそうになるじゃん。あたしも、あんまり人に話したりは嫌な方だけど、でも彼氏とか聞いてくれる人には言っちゃうよ。でないと病気になっちゃう。だから、良かったじゃん。家に居た時じゃなくて、おじさんとこに居る時で。逃げ場がある時でさ。まあ、だからそんなことになったんだろうけど……でも、無理してお母さんとその関係続けてたら、結婚まで仕切られたり、気に入らない人と結婚させられることになってたかもしれないしさ」
「あ、はい。だから……そうですね。まともに関係が続いてたら、彼と結婚なんてとても無理だっただろうから、良かったのかも」
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