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「……言うようになったな。ま、いいけど。……だから、そういうことだ。帰って手ェ出さなかったのは」
この人でも照れるのか、くしゃくしゃとごまかすみたいに髪を撫でる。
……確かに、さっきみたいに、我儘に奪って欲しい時もあるけど、……こういう時間も同じくらい好きだし、嬉しい。
温もりが感じられるだけでいい時もある。
「もう寝ンのか」
「……ん」
「このまま、こっちで寝るか?」
いつも一緒でも気遣うだろうから、と言ってくれるので、普段は和室で寝るけど……。
「今日はこっちで」
電気を消すと、彼は言った。
「なあ、だったらキスだけしていいか」
「口寂しいから?」
「……オッサンいじめるな。しねえけど、可愛がってやりてぇってことくらい分かンだろが」
……って、あの時駐車場でしたようなのじゃなくて、そっとついばんで、戯れ合うようなキスをしてもらって。
それからも、……キスはするけど、何も言われなくて、まだ気を遣われてるのかなと思うと、ちょっと複雑だ。
わたし自身は、母のことはもう気にしても仕方がないし、正直叩かれた時の記憶は思い出したくないけど、でもどちらかといえば竜にいつものペースで求めてもらえる方が何も考えなくて済むし。さすがに毎日は困るけど。
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