【14】

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「……それなら、素直に出してくれた方が嬉しいです」  笑って、彼は言った。 「なら、たまに気が向いたらな。あと、お前が」  言いかけて彼は言葉を切った。  ちょうど赤信号で車が止まって、わたしは彼の顔を見て言った。 「竜?」  ひとつ息を吐いて、彼はわたしの頭にぽんと手を置く。 「……お前が、逆の立場になるような、他の女に嫉妬するようなことにはさせねえから、って言おうとしたんだけど。……俺の意思じゃなくて今そういう面倒になりかけてンのを、相談しようとしてたのを思い出した」 「……え?」 「話の前にあらかじめ言っとくけど、俺はお前以外の女と結婚する気なんか全くねえからな」  ふざけてじゃなくて、昨日抱かれてた時みたいに真剣な表情で彼は言った。 「……はい」  よし、と手を離して彼は前を向いてから言った。 「明日、お前何か予定あるか?」 「なにも……無いですけど」  明日は土曜日。先週、母に会ってからもう一週間になる。  逆に言えばまだ一週間なのに、こうして笑っていられるのは、この人が居てくれるからだ。 「急で悪いけど、……俺の実家まで付き合ってもらっていいか」 「……ご両親に会うって意味ですか?」 「見合いの話が来てて、相手も親父も乗り気らしくて、断るなら早くお前連れてきて顔見せてやれ、って昨日聖から連絡が来た」
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