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「……うちの親、当たり前だけどお前んとこより年だろ。二人とも70だし。っつーと、もう老後とか介護とかそういう問題になっちまうから、その意味でお前を当てにされるようなことにしたくなかった。そりゃ、親のことだから、全く関係ないってわけにはいかねえけど、でもそのための人手のつもりで結婚考えるんじゃねえからな。……将来的には考えなきゃいけないとしても、今23のお前にそこまで押し付けたくなかった。だから、連れてくのはお前が来年になって腹括ったらでいいと思ってたんだけど――――」
「……ありがとうございます。いろいろ考えてくれて」
「俺が、嫌だったんだ。……クソ真面目に親のことで振り回されてるお前が、ちょっとでも安心してくれたらと思って、結婚なんて言い出したのに、嫁連れて来たみたいになったら、そーゆーことじゃねえよ、って言いたくなるからな。お前らのためじゃねえよ、みたいな」
この人らしくて笑ってしまうと、彼は言った。
「だから、……一緒に出来れば来て欲しいけど、面接受けるようなつもりで来なくていいからな。電話だけで話しても信用されねえかもしんねえから、こいつがそうだからって連れてくだけだ。お前は堂々としてりゃいい」
「あの、でも……」
「なんだ」
「……ご両親は、その人の方がいいかもしれないですよね?」
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