【15.5】

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 こりゃ拷問だな……と思ったが、何も言わずにファスナーを引き上げた。 「こっち向いてみな。……いいんじゃねえか。サイズもちょうどいいし」  涼子はほっとしたように笑う。 「江崎さんにも見てもらったから、大丈夫かなと思ったんですけど、良かったです。……本当は竜に見てもらいたかったんですけど、……ごめんなさい」 「別に謝らなくていい。急に支度させたの俺だし。いろいろ気ィ遣わせて悪かったな」 「いえ。結局買ってもらうことになっちゃったし……」 「これだけ買ったわけじゃねえんだろ?他にも持ってたもんな。ちゃんと請求しろよ」 「あ、はい。あと、上は白のカーディガンと、靴は、白のサンダルあるんですけど、でも傷んできてたからそれも新しいの買って、あんまりヒール高くないのにして……」 「分かった。分かったから、お前が選んできたなら大丈夫だから」  決して面倒で言ったわけじゃなく、あんまり一生懸命なのが心配になって止めただけなんだが、頬を膨らませて涼子は俺を見上げた。 「男の人が思うより、ほんと悩むんですから」 「分かってるよ」  ワンピースの丈は膝が隠れるくらいで、流行りのより色もラインも落ち着いていて、短時間で見つけるには大変だったろうと思う。  年配の親が好みそうなのを、あちこち回って探して来たんだろう。
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