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涼子の頭に手を置いて、俺は言った。
「ありがとな。急に言い出したのに、ちゃんと考えてくれて。良く似合ってる。大丈夫だ」
疑わしそうに涼子は俺を見上げて
「ほんとに?」
と唇を尖らせる。
「お世辞は言わねえよ。……それから、ありがとな。俺が紹介するのに、なるべくいい女に、って考えてくれたんだろ」
見る間に涼子は頬を染めて、耳まで赤くするのが分かりやすくて、愛おしくて、頬にそっと唇を触れた。
「大丈夫だ。十分、俺にはもったいないぐらい、いい女だ」
涼子は俺の肩を押し返して、見上げて言う。
「……嬉しいけど、たまたま、だと思ってますから」
「……あ?」
「竜なら、あたしじゃなくても、もっといい女の人選べたと思うんです。でも、……たまたまあたしが声かけて、こういうことになったから……だから、後悔無いようにさせてあげたいというか、……竜に少しでも釣り合うようにって」
頬染めて俯く涼子を見て、そりゃこっちの台詞だと思う。
……お前なら、会社の男だって居るし、俺みたいな……年寄りの親が居るようなオッサンじゃなくて、ちょっと待ってれば若くて条件のいい奴が現れたはずだ。
なんとか気に入られようと努力してる姿なんか見たら、こっちが切なくなってくる。
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