【15.5】

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 涼子の頭に手を置いて、俺は言った。 「ありがとな。急に言い出したのに、ちゃんと考えてくれて。良く似合ってる。大丈夫だ」  疑わしそうに涼子は俺を見上げて 「ほんとに?」 と唇を尖らせる。 「お世辞は言わねえよ。……それから、ありがとな。俺が紹介するのに、なるべくいい女に、って考えてくれたんだろ」  見る間に涼子は頬を染めて、耳まで赤くするのが分かりやすくて、愛おしくて、頬にそっと唇を触れた。 「大丈夫だ。十分、俺にはもったいないぐらい、いい女だ」  涼子は俺の肩を押し返して、見上げて言う。 「……嬉しいけど、たまたま、だと思ってますから」 「……あ?」 「竜なら、あたしじゃなくても、もっといい女の人選べたと思うんです。でも、……たまたまあたしが声かけて、こういうことになったから……だから、後悔無いようにさせてあげたいというか、……竜に少しでも釣り合うようにって」  頬染めて俯く涼子を見て、そりゃこっちの台詞だと思う。  ……お前なら、会社の男だって居るし、俺みたいな……年寄りの親が居るようなオッサンじゃなくて、ちょっと待ってれば若くて条件のいい奴が現れたはずだ。  なんとか気に入られようと努力してる姿なんか見たら、こっちが切なくなってくる。
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