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「……ありがとうございます」 「え?」 「そんなふうに言ってもらったら、嬉しいです。ここに来るまで、総務の仕事なんて全然知らなかったわけですから、ありがたいです」  江崎さんは、むーっ、と口を結ぶ。 「……あのね、謙虚はいいけど、自信持っていいんだからね。経験なくたっていいの。素直に頼んだことひとつひとつ覚えてくれればそれでいいんだから。他の課だけど、半日で消えた人も居たからね」 「そんな人、居るんですか?」 「色んな人が居んの。あと、タチ悪い男と付き合っておかしくなっちゃう人も居るしね。その点、涼子は心配ない、とあたしは思ってるし。話聞いてる限り」 「ありがとうございます」 「そこはずいぶん素直に頷くじゃない」 「あ……」  にやっと笑う江崎さんに、わたしは苦笑いを返した。  どっちかといえば、自分が誉められるより、彼が誉められる方が当たり前に受け取れると言ったら、惚気だと怒られるかもしれない。  2月に会って、4月に再会して今6月。  あまり意識してないけど、初めて付き合った人でもあるし、……自分、のぼせすぎてるのかな、と思う時がある。   その時、テーブルに置いていたわたしのスマホが震えた。
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