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「……っ、何……」
「――――今、お前俺の女に何した?」
「女って……」
わたしを振り返った男の子の顔は、色を失って見る影もなかった。
竜はじろりとサングラスの奥からわたしに目を向ける。
「おい。俺が目離してる隙に何言われた?こいつに」
「……連絡先教えてって言われたので、断ったら」
「スイマセン!」
全部言う前に、その子も仲間もダッシュで逃げ出していた。
車に戻る途中も、彼はずっと眉間に皺を寄せていた。
「ごめんなさい」
わたしが謝ると
「オメーが悪いんじゃねぇけど、ちょっと気を付けろ」
サングラスを外して言ったけど、外しても目が怒ってて怖い。
「気を付けろって言われても……あたし今まであんなのなかったし」
「今まではなくても、今は違うんだよ」
言いながら、彼は助手席の方に回ってドアを開けた。
「え?……すいません」
わたしが乗り込むと、今度は静かに閉める。
運転席に座ってドアを閉めると彼は溜息をついて言う。
「今日はそんなよそ行きのカッコしてるから、ちょっと目引くってのもあるけど、普段から前より目立つようになってきたから、自衛しろ」
「……別に、そんなに」
「服の問題じゃなくて……まあ、いいけど。とにかく気を付けろ」
「……よく分かりませんけど、今日に限っては竜の傍に居れば問題ないと思いますけど」
「どういう意味だよ」
「それ、似合い過ぎて怖いです。さっきの子たち本気で怖がってましたよ」
度付きの運転用で色は薄いけど、そういう人に見えなくもない。
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