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「なに。噂をすれば、おじさん?」  画面を見て、わたしは首を振った。 「あ。いえ、父です。ちょっとすいません……」   「涼子か。今、大丈夫か」 「うん。外だから平気」  空席待ちの人たちが居るので外に出て入口の屋根の下で話す。  雨は朝よりは強く降っていて、濡れた路面に雨粒が跳ねている。 「悪いな。仕事中に」 「ううん。……土曜日、黙って帰って、ごめんなさい」  一瞬、謝ることに抵抗は感じた。  けど、父も心配はしてくれて、それでわざわざ電話もくれたんだろうし、と思うと口に出ていた。 「いや。そうしてくれて良かったんだ。お前の顔見たら母さんもまた興奮してただろうから」 「……そっか」  あの時は黙って逃げるようで気になったけど、弘樹と彼の判断は間違ってなかったんだろう。 「悪かった。本当は昨日連絡したかったんだが」 「ううん。昨日はまだあたしも、……あんまり落ち着いてられなかったから。でも、今日はもう」  言いかけたわたしに被せるように父が言った。 「それなんだが、もし今日、お前が予定無ければ少し会えるか?」
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