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 黙って残りのアイスティーを飲んでいると 「言いたくないなら無理に聞かないけど、言った方がスッキリするなら言えば?聞くよ」 テーブルに両肘をついて、組んだ手に顎を乗せた江崎さんが言った。 「……面倒くさくないですか?」 「黙って死んだような顔してるの見てる方がよっぽどメンドくさい」  確かに。  電話の内容を話すと江崎さんは、ああ、と納得したように頷いた。 「そりゃ、どんな事情でも、好き好んで娘の彼氏に会いたい父親なんて居ないよ。うちの父だって、たまに彼氏来たりするとわざと会わないように避けたりするよ」 「そういうものですか……」 「そうだよ。気にしない方がいいよ。で、おじさんは来るの?」 「うん。……お客さんのところに行く用があるけど、なるべく間に合うようにする、とは言ってくれましたけど」 「良かったじゃん。大丈夫だよ。そんな気にしなくても。別に認めてくれなきゃ結婚できないわけじゃないんだからさ」  その夜、7時。  彼は少し遅れると連絡があって、わたしは、父と横浜駅近くのホテルのラウンジで向き合っていた。  ここに来るまでは、何を言われるのか不安で気が重かったけれど、父に会ってその気持ちは少し変わった。  ひと月ぶりに会った父はだいぶ痩せて、何歳も老けたように見えた。
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