【15】

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 お見合い……この人の年なら、別におかしなことじゃない、けど。  予想もしてなかったことを言われて、ちょっと、動揺した。  「……相手は」 「俺は名前聞いてもピンと来ない程度の、地元の同級生。乗り気っても、同い年で女なら親は余計早く結婚させてえだろうから、別に俺じゃなくても、話があればって感じだと思うけどな」  別にこの人じゃなくていいのに、なんでこの人なのか、とムッとしていると、彼が笑った。 「なんですか」 「いや、さっきはああ言ったけど、……お前が怒った顔してくれてるのが嬉しい。ごめんな」 「怒ります。男の人ならいいって条件だけで、話の上だけでもそのお家の中では、竜を旦那さんにした想像してるって……それだけでイヤです」  彼は黙ってしばらく車を走らせていたけど 「ごめんな」 ともう一度言った。 「俺が100パー断る気でいたって、そうやって嫌な思いさせるだろうから、話したくなかった。ホントは、一人で行って話つけて来ようかと思ってたんだけどよ。昨日のお前見てたら、……隠し事はしたくないと思ったし、なんていうか、……俺の嫁になるのはお前だからって、堂々と居させてやりたいと思った。前は、そう思わなかったんだけどな」 「……どういうことですか?」
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