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7 殺るか?殺られるか?
「グラタン、よくやった」
名倉鍛造は永野梨央の部下だ。
かつては刑事だったが、わけあって探偵をしている。
「いえ?ボスのためならなんてことないです」
八甲田山にやって来た。
雲行きが怪しい。
「ホントにバカだよなぁ?」
グラタンが下卑た笑いを見せた。
「アメ公のことなんか信じるのが馬鹿なんだ」
老婆が言った。
老婆は太平洋戦争で息子を亡くしている。
それ以来、アメリカは愚か、英語も、外国人みたいな顔の日本人も苦手だ。
「俺はねぇ?人が苦しむ顔をみるのがたまらなく好きなんですよぉ?特に美人が苦しむ顔がねぇ?」
グラタンは梨央の首をグイグイ!ロープで絞めた。何を隠そう!グラタンは限定犯罪者だ。
中尾明慶を殺したのはグラタンだったのだ。
「なんであのネズミが中尾家を継がなかったと思います?」
答えられるはずがない。梨央はとっくの昔に事切れていたのだから。
「中尾家はイロイロマズイことがあるんですよぉ?タイムマシンを使って時空を歪ませようとしてたんだ、明慶はことにそれを反対していた」
「だから殺したのか?」
「死んだんじゃなかったのか!?」
梨央もまた限定犯罪者だったのだ。 もう1匹の社畜を駆除したのは梨央だったのだ。
「殺すしかないでしょう?使えない社畜なんて。時空を歪ませないのは立派だが、ハム会社で失敗しやがった」
「食中毒事件あったけど?あれってまさか明慶が?」
「あれって外部には知られてないけど?まさか、アンタも吉永の手先だったの?」
「アンタも………って?」
吉永工業はライバル会社の乱立を受けて、タイムパトロールをする副業をはじめたのだ。
梨央も豊臣秀吉を暗殺しようとしていた鷲宮ってアニメオタクを射殺したことがある。
菓子パンを食べた犬村の少年が腹痛を起こした。
あの食中毒でも人は死ななかった。
グラタンはゲームにクリアして宝くじで1万を当てた。
少年も数日苦しんだが太郎博士によって助けられた。
「どうしてグラタンは犬村に?」
梨央は院長室で太郎にトカレフを向けた。
あの社畜はトカレフで社員にしてくれないブラック企業の重役を脅した。
もし、太郎が銃を隠し持っていたとしても撃ち殺すことは出来ない。
「明慶を殺すことを何故止めなかったの?」
「未来に行けばハイテクな薬が手に入る。ガンを根絶することだって出来るかも知れないんだ」
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