葛藤 ~詩side~

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金曜日の朝 玲を学校に送り出し 律の病院へとの車を走らせた。 玲は今週末も遠征なのだ。 運転しながらも 咳が酷く止まらない。 ちゃんと薬飲んだのに… 嘔吐してしまいそうな程のそれに 我慢も限界で SA(サービスエリア)に入り 追加でできる吸入薬をバックから出し吸入。 頭が 酸欠のせいかガンガンする。 相変わらず 胸からは変な音がし 辛くてたまらない。 とりあえず、頭痛薬と粘膜保護剤も 飲んで休もう。 リアシートからブランケットを取り 少しだけ座席を倒し横を向き 丸くなって眼を閉じた。 咳 早く止まって。 30分程うとうとして また咳き込んで 眼が覚めた。 なかなか効かない。 でも頭痛は治まり ホッ溜め息をつき また咳き込む。 辺りを見回して見れば このSAには 律の好きなお餅がある事に気がついた。 お土産にそれを買い 出発した。 家を出る前よりも 咳がだんだんと 酷くなって行く。 後少し…後少しで 律の病院に到着できる。 …………………っ こんな咳をしていて 病室に入れるだろうか? 念の為 咳止めの内服をして 落ち着いた瞬間 ちらりと病室に寄って帰ればいい。 律には悪いけれど 感染(うつ)るかどうかは 置いといたとしてもこれでは まわりに迷惑だ。 無事に到着し 駐車場で粉薬を飲み 車を降りた。 昼過ぎとはいえ 太陽が当たっていても 空気が冷たい。 それさえも刺激になり咳き込む。 のっのど飴買おう。 ふと思いつき ゴホゴホ咳き込みながら 他の患者さんについて院内に入り 天井の案内に沿って売店に向かう。 う゛ーーーーー、苦しい。 袋入りの のど飴に手を伸ばしたとたん グイッ 二の腕を掴まれた。 え…っ?!
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