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彼女はいつも、不思議なモノと一緒にいる。幽霊ではない。私がひとりでいると彼女は現れる。無視をしても、勝手に話を始めるのだ。私は諦めていた。今日も彼女が不思議なモノとやって来る。
「ねぇ、聞いた?」
そんな言葉が飛び交う朝の教室。私は窓際の席からグラウンドを眺めていた。早く学校が終わらないかと考えていると、隣でガタンと音がした。
「間に合った・・・!」
幼馴染がギリギリで席ついたようだ。ため息と共にチャイムがなる。私は幼馴染の方を向いた。
「おはよう。」
「おはよ!」
事務的な挨拶を済ませると私はまたグラウンドに目をやった。退屈な1日が始まる。
「誰だー学校に猫連れてきたやつー!」
ふざけた男子の声が響いたのは放課後の掃除の時間だった。校舎裏の陰になっているところで見つけたらしい。真面目に掃除をしていた女子から批判の言葉を浴びた男子は少し大人しくなった。が、それでもヒソヒソと話していた。よほど猫のことが気になるのだろう。そんな男子を遠目に見ながら机を片付けていると、誰かが私の制服の襟を引っ張った。振り替えればクラスでもあまり目立たない女子が立っている。名前は確か、柚葉さんだ。何か訴えたいような目でこちらを見て、一言。
「あの、後で相談があるんだけど・・・。」
なぜ私を選んだのかはわからないが、どうせ暇なので聞いてあげることにした。私が頷くと柚葉さんは少し安心したように、ありがとうと呟く。
掃除が終わると、柚葉さんは私を校舎裏へと連れてきた。目立たないフリしてカツアゲでもするのだろうかと焦っていると
「この子のことなんだけど・・・。」
そう言って1つの段ボールを指差した。中には1匹の子猫。底の方にはペットシートまで敷いてある。よく見れば、段ボールには又三郎と書いてあった。「・・・ん?」
私は唖然とした。
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