雪原にて。

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雪原にて。

寒くなってくると、幼い頃を思い出す。 冬になれば、雪が降り景色を真っ白に染める。 幼い僕はその真っ白に染まった雪に足跡をつけるのが大好きだった。 その日も雪が降り、世界は白く染まっていた。 僕はいつものように、長靴を履いて雪原へと足を踏み入れた。 白い雪には僕の足跡が点々と残り白い世界を汚していく。白い雪を踏み荒らす事で、世界が思い通りになるような奇妙な感覚を覚え幼い僕にとって快感だった。 ただ、その日はいつもと違った。 点々と残す僕の足跡。 茶色く汚い足跡が、いつもと違う彩りをみせる場所を見つけた。 その足跡の傍にしゃがみ込んで、その部分を見る。 雪の下から滲みでるような紅。 とても綺麗だ。 僕はその周辺をもう一度踏んでみる。 いつものように茶色い足跡が残る…が、その足跡を少しづつ紅色が侵食する。 僕はその不思議な光景に楽しくなった。 僕が見つけた不思議な場所。 その周辺にしっかりと体重を掛けて足跡をつける。 みるみる広がる紅。 少し離れた場所を踏めば、いつもと同じ汚い茶色い足跡。 その一箇所だけが特別な場所だと思えば、嬉しさは倍増した。 .
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