姉と弟

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姉と弟

 冬に入って既に数日が経ち、日が暮れるのもすっかり早くなった。  藤野(とうの)和那(かずな)は白い息を吐きながら、ポケットの中で握った鍵を取り出し、ドアの鍵穴に突き刺した。そして、ん?と違和感を感じて手を止める。  状況を察するとため息をついて鍵をしまい、ドアを開けた。 「貴姉、来てるの?」  玄関で靴を脱ぎながらそう呼びかけると、 「んー。お帰り」  居間からそんな返事が返ってきた。  以前合鍵を持って帰られてから何度かこんな状況もあったので、そろそろ慣れてきた。  苦笑いを浮かべながら寝室に入ると、スーツから部屋着に着替えて居間に向かった。 「来るなら事前に連絡くれればいいのに」  スーツ姿のままソファーに寝そべって携帯ゲームをいじっている姉、藤野(とうの)貴子(たかこ)の姿に、すこし呆れた表情を浮かべながら和那が言う。 「えー。鍵使わずに連絡してわざわざ外で待ち合わせろって? 面倒くさいじゃない」 「こっちに予定あったり、準備が必要な時もあるかもしれないだろ。片付けとかさ」 「今更? あんたの部屋、いつもきれいじゃない。物少ないから」     
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