魔王の城

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魔王の城

「…悪趣味な城だなぁ。」 「やっぱりそう思うか?いやぁ、我も悪趣味だと思うんだ。特にあの石像。あれ魔王からの平和盟約の証なんだかな。」 「いいから早く会いに行こうよ!魔王ってどこにいるの?」 「ここが入り口だから、ここから真っ直ぐ行き、右に曲がって一番手前の部屋。そこが確か魔王の部屋。」 「…は?」 「え?」 「待て。何故それを確信を持って言ってるのだ?お主の知ってるそれは、別の周回での魔王の部屋じゃ無いのか?」 「まあ確かに別の周回での記憶ですが、間違ってませんよ。ほら!行きましょう!」 僕は一番に部屋へ向かって走って行く。そして、その部屋のドアノブに手をかけようとすると、違和感に気付く。 「みんな、こっちじゃ無い。反対側の部屋だった。」 「なんじゃ?もうボケたのか?」 「僕16歳ですよ。まだボケる歳じゃありません。」 「え?」 「は?」 「うん?」 なにその顔。ハデス以外のみんなも一緒にキョトンとしてるんだけど。何?僕なんか変なこと言った? 「私と林斗って…同い年だったの?」 「まさか林斗くんと同い年で林斗くんのお姉ちゃんになるとは…。フフ、世の中不思議な事ばかりね。」 「むしろ僕を何歳だと?」 『大体13歳ぐらい。』 「ひでぇや。」 喋りながら、僕は反対側の扉のドアノブに手をかけ、ドアを蹴飛ばした。 「たのもぉ!」 「いにゃっ!?だ、誰だ!」 そこに居たのは、僕に他の周回で呪いを掛けた張本人。そして、僕の事情をよく知っている魔王。僕のお兄ちゃんがそこに居た。 「おはようお兄ちゃん?早速だけど屈辱的な罰を下すから覚悟してね?」 「…林斗!林斗なのか!?」 お兄ちゃんは、僕の姿を確認するなり、ベッドから飛び出して、僕に抱きついてきた。 「林斗~っ!!久し振りだなぁ!元気にしてたかぁ?」 「やめてよショタコンショタ兄貴。」 「ショタコンの後ろにかっこで(ブラコン)って付けといてくれ。」 「それ否定しないとお兄ちゃんが真の変態になるよ。」 「…えっと…話しても良いか?サタン。」 僕に抱きついていたサタンは、わざとらしく咳払いをし、顔をほんのり赤くしながら 「あ、ああ、いいぞ。ガイルも久し振りだな。一ヶ月振りか?」 「待ってお兄ちゃん。ここの反対側を秘書のお部屋にしてたよね?」 「バレていたのか!?くそっ!あいつはお前の事が大好きだからもしそのまま入ってたら大喜びだったろうに!だが俺の林斗は渡さん!」
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