カナリアの僕の日記

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『アン・スリウム』 まず最初の一人目は金髪碧眼にコックの様な服を纏った端正な顔立ちの男性が立ち上がった。彼はここに来る前はコックだったのかもしれない。 僕がそう思ったのは僕自身に用意された服がここに来る前に身につけていたものだと確信したからだった。 『蝶番舞鶴』『ちょうつがいまいずる』 二人目の名前が呼ばれると妖艶な雰囲気の着物を纏った美女が立ち上がった。彼女はカナリアとは思えないほどに完璧に化粧を施しており大人の女性の色気を感じさせた。 『彼方茜』『かなたあかね』 三人目に立ち上がったのは赤髪にそばかすが印象的な見るからに体育会系な男性だった。腕から覗く鍛えられた筋肉が彼の力強さを物語っていた。 『黄瀬檸檬』 『きせれもん』 四人目に立ち上がったのは長い金の髪を二つに結った可愛らしい女性で白いブラウスに紐リボンを結び紺のフリルのスカートを身につけていた。歳は僕と変わらないくらいに見えた。 『芙蓉夏彦』 『ふようなつひこ』 五人目に立ち上がった男性は緑色のファーのついたコートを纏っており、暗めの茶色の髪にふわっと浮かべた優しい笑顔は自然とカナリアとは思えない優しい雰囲気をまとっていた。 『日暮茉里』『ひぐらしまり』 六人目の女性は緑色の短い髪をカールさせた吊り目の女性で背はすらりと高く体も骨が浮くほど細かった。 牡丹一華 『ぼたんいちか』 七人目に立ち上がったのは名だけ聞くと女性と勘違いしそうだが男性だった。ハイネックのセーターがとても似合う色白な青年で紳士的な雰囲気を醸し出していた。 月華兎耳 『げつかとじ』 八人目に勢いよく立ち上がったのは二つのお団子頭が特徴的な小さな女の子だった。まだ小さい彼女がなぜここにいるのか不思議だが彼女は屈託のない笑みを浮かべキョロキョロと周りを見渡していた。 櫓櫂順一 『ろかいじゅんいち』 九人目に立ち上がったのは黒髪に眼鏡が印象的な白衣を纏った男性で、容姿から医者だとすぐにわかった。彼は眉間に深い皺を刻ませあたりを睨みつけていた。 『九条百合』 『くじょうゆり』 十人目に立ち上がったのは桃色の髪を高く二つに結った女性で、視線に困るほどあちこちを露出した服装をしていた。
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