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平の言葉には重みがあって聞いているだけで身震いを起こした。
「平は僕に情報を教えてくれてよかったの?」
「情報共有できる仲間がいるだけで安心だろ、それに咎愛は保護対象の可能性が高いから俺も安心できるぜ」
「まだ、保護対象と決まったわけじゃないけどね…僕も平と話せてよかったよ」
平と話せて心から安心している自分がいて平の存在に感謝した。きっと一人で怯えるよりこうして誰かと一緒にいた方が身の安全も確かだろう。
僕は平にまだ話していなかった制約を話だした。
「平には話しておくけど、僕の制約は手首と足首を他人に見せないことなんだ」
「…そうか…それはまた大変だな、うっかりしてると死んじまうじゃねーか」
「そうなんだよね、気をつけないと」
僕が困ったように頭を掻くと平は苦笑いでそれに返した。僕たちは夕食までお互いの知る限りの情報を話してノートに纏めた。
まだまだ情報は少なくて何も手かがりはないけれど平という心強い仲間が出来て僕は嬉しかった。
この日から僕は1日の出来事を日記に綴り始めた。
『今日からカナリアのデスゲームが始まった…平という仲間が出来て少しだけ安心出来る。
どうして僕が選ばれたのか、記憶がないのか、まだまだ分からないことだらけだけど今はただ、生き延びることだけを考えたい。
平の言っていた保護対象に僕も当てはまるのか、少しずつ此処にいれば分かってくるのかもしれない。
カナリアのデスゲーム初日を僕は無事に越えられました。明日も無事で入られますように。』
日記を書き終えた僕はベッドに横になった。
普段と違う柔らかいベッドのお陰ですぐに意識は薄れていった。
こうしてカナリアのデスゲーム初日は何事もなく過ぎていくのだった。
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