プロローグ

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ここにいる罪人達は外部の情報も与えられず、生きながらも死人のような生活を送るしかなかった。もし罪人達が脱獄を試みようものなら様々な手段で命の灯火は躊躇いもなく消される。 罪人達はここから逃げられない様を鳥籠の中の鳥に例えられ、カナリアと呼ばれていた。 それではカナリア達はどうやって刑期を償うのか? その答えは単純だ。 ただ死を待つだけの罪人達に年に一度大きなチャンスが訪れる。 そのチャンスは命を賭けたデスゲーム…カナリアのデスゲームと呼ばれるものだった。 男女が複数人が集められて用意された閉鎖施設で三ヶ月間暮らす。生き残った者は刑期が軽くなったり、或いは釈放を約束される。 たった三ヶ月の間に皆が生きていればいい。 何の苦もないこのゲームで忘れてはならないことが一つある。 それは…皆がカナリアということだ。 罪の大きさは問われず、死刑囚から軽犯罪者までが集められるこのゲームは、毎回誰も死なずには終わらない…。 そう…これがカナリアのデスゲーム。 新しい処刑法なのだ。 さあ、カナリア達は集まった。 デスゲームが幕を開ける。 カナリアの中に悪魔が一人。 不気味な笑顔を浮かべ勝利を見据えた。 『始まるんだね…楽しみだな…』 カナリア達は鳥籠で囀る。 悪魔の歌を…。
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