カナリアの僕の日記

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女性達が全員揃うと男性達が入れ替わるように案内された。室内は広々としていて三つの試着室のようなスペースが設けられ順番に中に招かれた。 僕は最後の三人に別けられ、先の三人が出てきてから中に入った。自由に服を選べるのかと思いきや、五着ほど用意された中から選ぶというシステムになっていた。 不思議と目の前にある服に見覚えがあるのはここに来る前に持ち合わせていた服だったりするのかもしれない。 僕はその中から適当に深緑色の長袖のシャツとジッパーのついた半袖の羽織を選び身につけた。 これなら制約も破っていないし、安泰だ。 それにしても手首、足首を見られてはいけないというのは何故なのだろう。手錠や足枷の後が目立つからだろうか、確かに生々しく痣になっているがそれはカナリアである以上皆、同義だと思うと不思議と疑問に思えた。 そんな考えに捉われながらも、全身の着替えが終わり部屋から順番に元の場所に戻っていった。 列が再び揃うとセキュリティハンターが僕達カナリアを連れて移動を始めた。 次に案内されたのはそれぞれの個室だった。 木目調の扉には金属のプレートでそれぞれの名前が打ち付けられていた。 日本人だけではなく外国の人が何人かいるということが名前だけで窺えた。はっきり何人とは数えてないけど、後に分かるはずだ。 セキュリティハンターは僕達を一通りの施設に案内していった。風呂場、調理室、食堂、トイレ、図書室、植物園、音楽室、プール、教会までもが用意されている。 生活施設以外の施設の存在意味は謎だが、きっとカナリアとしてではなく、人間として暮らせるようにとの配慮なのかもしれない。
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