母胎

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子供向けの洋画の途中、冬馬はコクンコクンと居眠り。 (毎晩ケンカされたら熟睡も出来んなあ) また反省。俺はこうやって父親と映画を見に来る思い出もない代わりに両親の仲違いを見て悲しい思いをすることもなかった。 (ここは俺が折れて上手く仲直りするか) と考えつつも家路につけない・・・冬馬も「帰りたい」とも言わへん・・・。 イルミネーションの公園をぶらぶら・・・ 「・・・大阪へ行くか?・・・」 ポロっと出た・・・。 「行く」 立ち止まって冬馬はハッキリと言うた。 「もうママには会えん!  それでエエんか?!」 「大丈夫!僕はパパと大阪へ行く!」 キリっと自分の意見を言うのを見て (俺よりオトンより賢いんちゃうか?) なんて親バカなこと思うたりした。 東京駅へ行って新幹線に飛び乗った。二人で駅弁を楽しむ。仕事のこと、それから縺れるやろう離婚問題・・・。色々あるけど、 (後や後、後!) 「明日はバアちゃんとUSJ でも行こか?」 「行こう!行こう!」 脇の下に七つの息子を抱き締めた。 (行こう、どこでも行こう!パパが好きな アラビアの玉子サンドも食わしたる、 今宮の”えべっさん“もお詣り行こう! せやけどな、今夜はゆっくり眠ろう ・・・宗右衛門町のネオンがチラつく スナックの二階。お客さんのカラオケとオカンの十八番『この子の父ちゃん偉かったんや』を子守唄・・・そのぬくもりで静かに眠ろう・・・。それからパパとバアちゃんの三人で一緒にゆっくり生きていこう・・・)
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