9人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
こんなに落ち着いていられるのもVRとか立体的なゲームが出来てきたからだと思う。俺らはまず、ゲームでいうタイトル画面へ移動する設定の風景を探すことにした。
確かコンピューター室ぽい所だよな。
「ジキル!上の方で人が集まってるぞ!」
「ついて行くか」
人の波に流されるように俺らはエレベーターに乗った。
「エレベーターあるんだね」
「ないと死ぬわ」
「あはは、確かに」
1人じゃない事と、誰かと会話している事が心を落ち着かせた。
大丈夫、別にこれからデスゲームとかが始まる訳じゃないし・・・ただ連れてこられた段階だ。まぁ、もしそうなっても俺は主人公になれる立場じゃないし、うん、そうだよ。
べ、別に期待してる訳じゃないから!?ただライトノベルとかでよくあるハーレムとか美少女とぶつかって一緒に行動するとか期待なんて、し、しし、してないから!?
チン
「あ、つい」
ドンッ
「いて!?」
前を見ずに歩き出した俺は扉の前に立ってたであろう人にぶつかった。
「・・・すまない」
「あ・・・はい」
そこに居たのは、THE運動部ですって感じの日本人風男性だった。ですよね。
「ジキル!何があるかわかんないんだからちゃんと前見ろよ」
「肝に銘じるわ・・・」
「お、おぉ?」
わかったならいいけど、そう言ってハルは俺の手を引っ張り人の波に乗った。
人の波を抜けてたどり着いたのは、設定画面で見たパソコン室だった。人は集まるものの周りは動けずにいた。確かに俺も開けたくない。
さっきハルが言った通り、何が起こるのかわからないからだ。
「ジキル」
「ん?」
「俺・・・開けるよ」
「は!?ちょま!!」
そう言って、ハルは扉を勢いよく開けた。
最初のコメントを投稿しよう!