ゲームを始める

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俺の心配を他所に中は特に何も無く、ただただ設定画面でみた風景そのままだった。 「お、おい、ハル」 「何もない・・・いやまだ」 ハルはよくわからない機械をいじり始めた。そして、突如として響いた声にこの場にいた人達は時間が止まったように動かなくなった。 『ゲームを始める』 「ゲーム?」 聞き返したのは、動けたのはハルだけだった 『ルール、クエストを全てクリアする。誰か1人でもクリアすれば現実世界に戻れる。クエストはNPC(ノープレイヤー)が出す。邪魔もNPCがする』 「は」 『以上を持って、ゲームを始める』 「意味わかんない・・・おい!!そこにいるんだろ!!クエストとかNPCとか説明するんなら出てこい!!」 「は、ハル!!落ち着け!!」 やっとの事で出た声は震えながらも少ない友人を止める言葉だった。 『ゲームを始める』 「いいから!!」 『クエスト①』 「出てこい!!」 『氷の住人』 ピキッ 急激な冷気と共に目に映ったのは、ハルの・・・凍った姿だった。 「な」 「「「わぁあああああああああ」」」 凍りついた友人と、地面がゆっくりと広がっていく。そんな状況に異変を感じた人々はすぐさま逃げ出した。 そんな時、俺の手を掴む人がいた。 「・・・逃げるぞ」 「え、え」 友人が凍った事に、冷え着いた空気に、阿鼻叫喚なエントランスホールに俺はやっと現実を理解した。 何がVRだ、ゲームで人が凍るわけない、死ぬわけがないんだ・・・だが、俺の目の前はゆっくりと凍りつき現実を嫌でも突きつけた。 ふと、手を握る人物を見上げるとそれはエレベーターでぶつかった男性だった。 大きい肩幅に、俺が小さく見えてしまいアバター選択ミスったなとか、アバターでも現実の俺でも聞きなれない低い声だなとか、どうでもいいことを過ぎった後、俺は意識を引き戻し引っ張られ気味だった足を動かした。 「ありがと!!」 「・・・」 とにかくお礼をいい、俺達は走り出した。 下は既に人混みで通れずにいた。 「チッ・・・」 「上に行くぞ!!」 「は?・・・あぁ」 俺はそう提案して今度は俺が引っ張るように走り出す。クエスト移動でよく気球やら飛行機などが使われることを思い出した俺は上に行けば、少なくとも逃げ出せれる可能性を考えたのだ。
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