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だが、エレベーターも下へ降りるために人が大勢いて通れる気がしない。
「・・・こっちだ」
そう言って、指さしたのは非常階段だった。
ゲームの癖に非常階段あるのかよとか今はもう考えられない。俺らは逃げるために走り出した。
60階
70階
80階
「90か・・・!?」
次の階段へと登ろうとした足が止まった。
目の前は柵のみで91階へと続く階段がなかったのだ。非常階段の外からは叫び声が響いており徐々に近づいている・・・今外に出て階段を探すことは不可能に近い。
ここで____
「死ぬのかよ」
「・・・」
そう理解した瞬間、俺は足元から崩れて行った。50階から登ってきた時点で俺の足はもう動けない・・・ここまで登ってきたのも火事場の馬鹿力ってやつだ。
そんな時、男が声を出した。
「・・・"氷の住人"」
「え」
「クエスト、氷の住人は村と一緒に凍ってしまった人間を太陽の石を使って助ける内容だ、依頼人は村の住人である子供・・・」
そう、氷の住人とはこのゲーム内のクエストの1つであった。
「それがなんだよ」
「・・・何故子供が凍らなかったのか」
何故子供が・・・?そう言われて思い出した
「___氷が訪れた時、子供達は遊びに夢中だった」
そうだ!子供達はこの時、村から少しだけ離れたところでかくれんぼをしていた。そして"氷が来た事に気づかなかった"のだ。
「い、いやいや!俺らもう気づいてるからその法則は」
「ヤる・・・」
「へぁ!?」
男は俺の腕を掴み壁へと押しやった。
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