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気付いたら、私はいつものように一人公園に立っていた。
だが、いつもなら座ってタブレットを見ているはずが、今は立ったまま寸前まで輪と話していた方を向いている。
状況が飲み込めず少し呆然としていた私は、あることを思い出しタブレットを拾い上げる。
タブレットの時計は、十三時二十五分を超えていた。さっき百七十一秒の壁を超えてから、二分近くが経過している。
今回は、時間が巻き戻ってはいない。
私は輪を待った。次に輪に逢った時、どういう顔をすればいいのか、何を話せばいいのかはわからない。おそらく輪の行動目的も変わっていない、私はまた命を狙われるのだろう。それでも輪を待ち続けた。
時計を見る。
さきほどの眩暈、世界軸の移動から百七十一秒を超えた。
輪は来ない。
時計の針だけが進み続ける。
それでも私は、待ち続けた。
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