2人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
「どうして……」
前回が嘘のように、憔悴しきった顔で輪がやってきた。
「何で、あと何が足りないの……」
「輪、しっかりして!」
生気が消え失せてぶつぶつとつぶやく輪の姿を見ていたらたまらなくなり、思わず私は輪の肩を掴んで大声を上げる。
「お願い、何かヒントだけでも教えて! 私も考えるから」
百七十一秒で行動は起こせなくても、解決方法について一緒に考えることはできる。そう思ったが、輪は頑なに拒否する。
「それはダメ。それだと予期できない世界軸に行く危険が……」
「お願い、次までに私ができることを考えておいて!」
いつもの眩暈が襲ってくる。次の時間軸は輪を助けられる私でありたい。
最初のコメントを投稿しよう!