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第六章 無間地獄へ
僕はレイコとナオトと別れたあと、ひたすら階段を駆け降りた。どんなに足に針が刺さっても、平気だった。
鬼は無間地獄を地獄の果てと行ったけど、僕にとっての地獄の果ては、生きているとき、行方不明になったお母さんを待っていたときだった。お父さんは僕のことをずっと無視した。お前の出来が悪いからお母さんが余計におかしくなったと言ってた。学校のみんなは人殺しの子と行って僕をいじめた。お母さんが死んだのがわかったら、ますますいじめられた。お母さんのところに行きたくて、僕は食べるのをやめた。
僕は今、幸せだ。だって、自分の足でお母さんの所に行けるんだもの。お母さんの帰りを待つしかなかったあの頃よりずっと幸せなんだ。
無間地獄の扉を開いた。
無間地獄はどこまでも果てしなく炎に包まれていた。
「おかあさん!!」
お母さんを呼ぶと、一人の鬼が振り返った。鬼の近くに、裸で串刺しにされ、炎に焼かれているお母さんがいた。
「シュウ!!」
お母さんが僕に気がついた。
「おかあさああああん!!!!!」
僕はお母さんに駆け寄った。
「ふむ。身内がきたか。この女にもまだ救いの余地があるようだ」
鬼がそう言って、お母さんへの拷問をやめた。
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