第一章 地獄の入口

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 ここは、死者が集まるところ。世間の言葉を借りると「天国」だ。 しかし、実際天国に行ける者は一握り。生前に悪いことをした者は地獄に振り分けられる。  あたし、レイコは今まさに閻魔様に地獄行きを言い渡されたところだった。地獄行きと言われても何ら驚かなかった。生前は悪いことをたくさんしたし、少女時代には少年院に、大人になってからもいろいろ犯罪を犯し服役した。死因も麻薬のやりすぎが原因だった。死んだとき29歳だった。  地獄に放り込まれるのを待つ待機部屋は、狭かった。6畳ぐらいか。黒い壁に黒の石畳で、見張りの鬼が持っているロウソクだけが明かりの部屋だった。そこに地獄行きの人間が立ったまま待機させられていた。みんなボロをまとっている。隙間はなく寿司詰め状態だった。そこにいる連中は見るからに悪党という感じだった。  しかし、その中に10歳ぐらいの子供を見つけた。地獄行き集団の中で子供はその子一人だけだ。その子はスレた雰囲気でもなく精悍な顔つきをしていて、悪ガキではなさそうだった。  あたしはその子が気になり声を掛けようとしたが、その前に部屋が揺れ、大きな音を立てて部屋が下がっていく。エレベーターのようだった。  部屋が下がっていく最中、ロウソクを持っていた鬼がエレベーターガールの様に説明を始めた。 「地獄は八階層に別れている」 鬼は部屋の壁に刻んである文字をロウソクで照らして字を読める様にした。その壁には、  等活地獄  黒縄地獄  衆合地獄  叫喚地獄  大叫喚地獄  焦熱地獄  大焦熱地獄  無間地獄  と書いてある。 「等活地獄が一番上の地獄で、一番ましな地獄だ。悪人になればなるほど下に行くことになり、一番下は無間地獄だ」  と鬼が説明する。  しばらくすると部屋が止まった。 「着いたぞ。ここが一番始めの地獄、等活地獄だ」
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