第四章 黒縄地獄から焦熱地獄

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 五番目の大叫喚地獄に来た。  殺生、盗み、淫行、酒に加え、嘘をついた者がくるそうだ。  叫喚地獄に続く大叫喚地獄なだけあって、さっきの叫喚地獄より大きい窯で煮られた。さっきの窯より凄まじい熱さだ。とにかく窯の底を探したが窯が大きすぎてなかなか階段が見つからない。シュウもあたしも何回も溶けてなくなり、また鬼の力で復活した。やっとのことで階段を見つけ出し下に降りた。  六番目の焦熱地獄に来た。  殺生、盗み、淫行、酒、嘘に加えて邪見(ってなんだ?あたしにはよくわからない。)をした者が来るところだ。    当然だけど、下の階に行けば行くほど拷問はきつくなっていく。焦熱地獄に入るなり鬼につかまり鉄板に投げつけられた。鉄板に当たった体の部分はすぐドロドロに溶けた。今までより比べものにならないくらい熱い。背中に鉄の釘を刺されて、両手足をもがれた。痛くて辛くてたまらなかったが、自分のことより、子供であるシュウが痛めつけられるのを見るのはさらにきつかった。シュウはすでに背中に5本串をさされ、地面と一体になり、手足をすでにバラバラにされてその手足も業火で炙られていた。  だけど目つきはしっかりしたまま鬼を睨みつけている。シュウは今まで、どんな目に遭っても泣きも叫びもしなかった。ただひたすら耐えていた。他の拷問を受けている大人は皆悲鳴をあげていたのに。シュウはどうしてここまでするのだろう。こんなところまできてこんな目にあって、シュウは報われるんだろうか。あたしは何回もバラバラになりながらも鬼が活を入れて復活させるタイミングを狙って階段を探し出した。  シュウと一緒に階段を降りて七番目の大焦熱地獄の入口に来た。地獄に入る前に、あたしは立ち止まってシュウに聞いた。 「シュウ、ここに私の彼氏がいるはずだから、探していい?」  シュウはうなづいた。 「悪いね。でもあいつ強かったから、見つけられたら力になってくれるかもしれない。さあ、行こう」
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