第五章 大焦熱地獄

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ナオトはこの大焦熱地獄でもうまいこと立ち回っていたようで、鬼が来ない物陰に案内してくれた。 「ところで、このガキはなんだ。お前の子供か?」 「違うよ。この子の母親がこの下の無間地獄にいるから会いに行きたいんだと。」 「はあ!?俺でもここ止まりなのにこの下?一体何したんだよお前の母ちゃんは」  ナオトは犯罪行為はだいたいやらかしている。殺人で服役もしている。ちなみに大焦熱地獄行きになったのは焦熱地獄での素行が悪かったかららしい。少女強姦はさすがにやってないと聞いて少しホッとしたが、ほんとにしょうがない男だ。しかし、ナオトの言う通りシュウのお母さんの事情が気になる。 「ねえ、シュウ。一体なにがあったの。あんたのお母さん。無間地獄行きになるようなお母さんって、ここまでして会う価値あるのかい?」 あたしの親もろくでもなかった。死んだら地獄行きだろう。だとしても会いたいなんて思えない。シュウはどうしてお母さんに会いたいんだろう。 「僕のお母さんはいいお母さんだよ。料理もいつも美味しくて、お菓子も手作りだったんだよ。勉強も教えてくれたよ。」 「じゃあ、どうして・・・」 シュウは、少し黙ってから話し始めた。 「僕のお母さんは、おばあちゃんを殺したんだ。おばあちゃんは、お母さんのお母さん。」
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