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第三章 下の階へ
そんな、シュウはお母さんに会うためにわざわざ地獄に落ちたっていうのか。だけど、そこまでして、会いたいお母さんなのに、なんで一番下の無間地獄にいるんだろう。一体シュウのお母さんは何をしたんだろうか。気になったが、シュウがキョロキョロしながら何かし始めたのでそっちの方が気になった。
「シュウ、何か探してるの?」
「階段、探してるの。下の階の地獄に行く階段」
「階段か。見たことないけど、下の階の地獄に行くには階段しかないの?」
「うん、鬼に聞いたんだ。僕はそんなに悪さしてないから閻魔様がさらに下の地獄に落としたりはしないって。無間地獄に行きたかったら自分で階段を降りるしかないって言ってた。でも階段の場所は毎日移動してるから鬼もわからないって」
「そう」
最初の地獄の説明といい、鬼ってなぜか説明が丁寧だ。
それから、あたしも一緒に階段を探した。何日たったか忘れたけど、階段を見つけた。
地面の下に、マンホールみたいな蓋があり、それを開くと階段があった。
「レイコ。ありがとう。僕、行くね」
「ああ、待って、あたしも行く!」
シュウが少し驚いた顔をした。
「あたし、もっと悪いことしてるから、どのみち ここのあと下の階に行くことになってるんだよ。それに、あたしの彼氏も悪人だったから下の地獄にいるらしいんだ。だからあんたと一緒に行くよ」
なにより、シュウ一人じゃ可哀想だ。
「うん、じゃあ一緒に行こう」
あたしとシュウは等活地獄の下の黒縄地獄に向かった。
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