手記2

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 私は戦争が嫌いだ。あの人もそうだろう。いつだって疲れた顔をーいや、それは別の理由もあるのだが。  私の人生は戦争だらけだった。生まれてすぐに戦火に巻き込まれて全てを失い、あの人に拾われて戦争に参加し、この国で戦争に駆り出される。  戦争にいいことなんて一つも無かった。悲しいことばかりだ。皆ボロボロだったのに走り続けられたのは、いつか安息の地に辿り着くと信じられたからだが、今も私は戦争ばかり。とっくの昔に枯れ果てた涙が出てくるようだった。  私は何度も何度も、戦争に引き裂かれた者たちを見てきた。その者たちは共にある時、永遠に思える時もあった。それなのに引き裂かれた後に、彼らは別の誰かと歩むのだ。  私はそれが悲しかった。それでしか前に進めないとは分かっている。それでも悲しかった。  故に私は決意した。私は永遠に彼女を想い、歩むと。
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