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「潰瘍が出来て出血していましたよ。蹴られたのが余計にいけなかったのでしょうね。それにしても胃の中が空っぽで荒れていました」
「……緊張で暫く食欲がなかったので」
でも、穴は開いていなかったらしい。
リカルドは呆れた様子だが、クシャリと髪を撫でる。この人もだいぶ、雰囲気が柔らかくなった。
上官と同じエルの神秘性は、リカルドの方が多い気がする。シウスは語らう事が多いから、『神秘』というほどの謎めいた様子はあまりないのだ。
「状況、どうなりましたか」
「ウルバスは無事に帰還、怪我人の治療も終わっています。城に忍び込んだ賊はオスカル様とジョシュア様が片付けました。こちらのことはウェインさんとアシュレーさんが整えて、今は平穏なものです」
「はは……それは良かった」
本当に、情けない。こんなんだから、同期の中で恋人もいないんだ。
オリヴァーが事実上の結婚をして、ウェインとアシュレーが恋人となり、ルイーズなど本当に可愛い嫁をもらい、独り身濃厚と思っていたグリフィスも外に恋人がいるらしい。
残ったウルバスはあの柔和さで意外とモテるのに恋人を作らない。作らないんであって、その気になればいくらでもできる。
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