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「シウス様!」
真っ赤になったマーロウは、たまらず席を離れてしまう。それを見て、チュウェンもペコリと頭を下げて後をついていった。護衛、なのだろうが。
「くくっ、あのように可愛いマーロウを見ようとは」
「彼、意外と長生きしますよ。自分に無理をしないだけ私達よりもね」
「ほぉ、見掛けによらぬ。まぁ、我等はいつ何があるか分からぬ身故な」
アルブレヒトのお墨付きに意外そうに目を丸くするシウス。
だが次には、真剣な顔をした。
「さて、王都だが。やれ、攻めづらいの」
その言葉に、場は一気に沈み込んだ。
ベリアンスと、その妹の事を知ったのは落ち着いて少ししてからだった。国王キルヒアイスの子を身籠もった事。抵抗し、自殺を何度かしようとしていたこと。そしてこれらは、レーティスにも伝えられた。
その瞬間のレーティスの顔は、今も忘れない。目を見開いて震え、一気に顔色が悪くなって崩れた。オーギュストがそれを支え、今は休ませている。
婚約までした女性がそのような目に合っていると知った彼の苦しみは、今どのくらいなのか。思えばランバートも苦しく思う。精神的に多少脆い部分があるから、余計に心配になってしまう。
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