合流

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 オーギュストと王都にいた時に話していたのだが、レーティスは彼の主だったヴィクトランに似ているという。言われて、少しだけ納得できてしまった。どうにも自分の中に抱え込む部分があるのだ。  ヴィクトランも、家族に起こった悲劇の中で自分だけが生き残った事に苦しんだらしい。そうした苦悩や悲しみ、苦しみが彼の人間性を歪めていったのだと聞いて、レーティスは同じだと感じた。  だからこそ、オーギュストはレーティスの側にいたいのだと言う。主を重ねてしまうのだろう。 「王都に住まう民が盾となれば、無理に開城を迫るのも恐ろしい。何をしでかすか分からぬ」 「ベリアンスはおそらく、最後までセシリアを手放せません。死んでも抵抗するでしょう」 「その子の奪還が優先ね。それにしても、本当にクズ王。女をなんだと思ってるの」  苛立ちを滲ませるイシュクイナの隣りには、ウルズもいる。今はアルブレヒトとイシュクイナの間でとても小さくなっていた。  ラン・カレイユ組がここへと迷いなく来られたのは、彼女のおかげなのだという。彼女のエルの能力は鳥の声を聞くこと。その鳥が、ここでの戦いを臭わせる事を言っていたそうだ。  アルブレヒトが柔らかく、少女の頭を撫でている。温かな場所に迎えられていくぶん落ち着いているのだろうが、肩身が狭いのはその通りだ。     
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