【R18】恋人の夜

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 イシュクイナによると、ラン・カレイユの女性は仕事に真摯な人が多く、真面目に仕事を頼まれればプロフェッショナルを目指す気質らしい。そして自国にいても女性の地位は低く、むしろしっかり給与と生活ができるなら場所は選ばないとのこと。  また数人はこちらで奥方の地位に収まっている女性もいて、自国に帰る事を拒む人もいた。今までは女性側に戸籍がなかったことで内縁状態だったが、アルブレヒトが戸籍を与える事を約束すると互いに、「これで公に結婚ができる」と喜んだそうだ。  少年を買った人物もいたが、そちらもどうやら愛し合っての事らしい。睦まじい恋人達のイチャラブを見せつけられたアルブレヒトは疲れた様子で一言「同性愛を認めるべきなのか……?」と本気で悩んでいた。  だが、そうならなかった人も多い事は確かだ。奴隷のような労働環境で、体が弱れば使い捨て。または性的な虐待でボロボロにされた少年や女性もいた。  そうした者をアルブレヒトは許さなかった。自身がそうした状況にあったからだろうか、悪質な者は捕らえられて既に地位も剥奪されて刑に服している。  だが、何にしてもあれこれ落ち着いて、一週間後には簡易だが戴冠の儀式が行われる事となった。  支度を整えて部屋に戻ると、ファウストは既に寛ぎモードだ。籐で出来た寝椅子にゆったり腰を下ろし、この国のワインを楽しんでいる。 「早いな、ファウスト」     
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