お母さん、あのね

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 それからあっという間に火葬も終わった。  お母さんはどんどんやつれていく。毎日毎日泣いて過ごしてる。あたしはただ側で浮いているだけ。  何にもできない役立たずの親不孝者。  何かできたらいいのに。どうしたら笑ってくれの? 顔がくしゃってなった笑顔がもう一度見たい。淀んだ空気が漂う部屋からでて、散歩でもしたら? こんなだったらいつまで経ってもお母さんが心配で成仏できないとか言ってやりたいことまだまだあるのに! 『お母さんのバーカ! 干物になっちゃうよ!』  このまま側にいるだけじゃ駄目だと玄関からすり抜けた。      勢いのまま外に出たものの、幽霊になったあたしは誰の目にも映らない。  まだ家族三人が揃っていた小さな頃に遊んでいた近所の公園のベンチに座って、何をするでもなく眺める。時々子供がこちらに向かって走るから思わず身構えて、あたしに重なるように座られて『あっ、そっか!』と思わず声を出してふっと笑ってしまった。 『なぁんか勿体ない気がしてきた! 幽霊の経験とか満喫しなくちゃ損だよね』      それから日中は外で幽霊生活を満喫して、それ以外の時間はお母さんと(一方的に)過ごす生活を約三週間繰り返した。
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