(4) ハピメリ

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 しかし、私は先輩が困ってやしないかと心配になり、先輩の顔を見つめる。  先輩は穏やかに笑っていて、少しも困ってはいないようだった。とりあえず私はホッとする。 「それでは、僕はこの辺で失礼します」  先輩が再び頭を下げる。いつもは「オレ」なのに、きちんと挨拶する時は「僕」。うわー新鮮! とか言っている場合ではない。  私も先輩にむかってお辞儀をした。 「先輩、今日はありがとうございました!」 「こっちこそ」  先輩がもう一度うちの家族に会釈すると、家族全員、ほぼ同じタイミングで話し出す。 「藤沢君、いつでも遊びに来てね!」 「うちに来た時は私もお邪魔しちゃいますねー!」 「それじゃ、失礼するよ。まどかを送ってくれてありがとう」  一気に言われたものだから、先輩が呆気に取られている。ほんと……恥ずかしい。  しかし、先輩は爽やかな笑みを浮かべ、「失礼します」と言って駅のホームに向かって歩き出した。  私たち家族はその後ろ姿をしばらく見送った後、家路につく。
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