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影さえも出来ない空間に、真っ白で何も無いこの空間に、素足。
ひた、ひた、と皮と地面の擦れる音。
何も無い、ここには何も無い。思い出と後悔は置いて来た。氷のような気持ち、一欠片だけ、片手に持って進んでいる。
薄手の白の服が、自分の速度で生まれる風になびいている。どこまでも続く、何も生まれない空間。地面は冷たく凹凸も無い。
平に均された床で、ひた、ひた、と終わらない音。
夢で会えたって、心で思ったって、願ったって意味が無い。
ただ唯一の、温もりが欲しい。確かにここに居ると、在ると、同じ人間の同じ手で、伸ばして、掴んで、引き止めてほしい。
そんな淡い希望を抱いて、ひた、ひた、と一人、歩く。
きっと誰にも見つからないまま、冷えた足先を虚しく思って、虚空の中を生きていく。
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