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第一章 お願いだからもうついてこないでください!なんでもしますから!
「アイツってオタクなんだろ? 女子でオタクとか、ちょっとないよな」
クラスメイトの男子が言い放った言葉に続けてどっと笑う声がする。
割と少女漫画とかによくある展開だと思う。
移動教室の後やお昼休み、または放課後に教室へ入ろうとしたら聞こえてきた話題が自分のことだったってやつ。
クラスの誰々めっちゃ可愛いよなーからの、ところでアイツはどーよ? っていうアレ。
まさかそれが自分の身に起こるなんて思わなかったよ。
そうなの。
彼らが言っている“オタクなアイツ”というのは私のことなんだ。
漫画みたいに泣きながら走り去るというのは悔しい気がして、何も聞いてませんよ私本当に何も聞いてませんいつも通りですって体を装って教室に入れば。
さっきまで私のことを笑ってた男子たちは『ヤベ、聞かれた?』って顔をして、私の方をチラチラ窺い見てくる。
私は精一杯その視線にも気付かないふりをした。
────そんなの気にするくらいなら、最初から嘲笑わなきゃいいのにさ。
自分が“モテない”部類の女子であることくらい分かってたよ。
だから告白するなんて考えてもなかったのに。
ただ、本当に見ているだけで。
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