18人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
同じ空間にいられるだけでよかったんだよ。
私を話題にして笑う声を聞いた瞬間。
誰にも言ったことのない密かな私の恋心はバリーンと弾けてしまった。
この時の衝撃は、二十二歳になった今でも忘れられない。
私の心の奥深くに突き刺さった棘。
ずっと抜けない棘として、今も残ってる。
────だと言うのに。
妖艶な紫髪の堕天使が私に言うワケよ。
「アナタ、アタシのために彼氏作りなさい」
しかも某カジュアルブランドと好きなゲームがコラボした時に買ったVネックのニットワンピースを着て。
それが悔しいくらい似合うのがムカつくし(あと太ももが眩しい)、ていうか大事にしまっておいたやつなんだけど!!
そりゃ確かに『何でもする』って言ったよ。
でも彼氏イナイ歴=年齢アンド恋愛トラウマ持ちの私には、ちょっと無茶だと思いませんかね。
推しさえいれば、私は幸せなのに。
ていうか堕天使って、何って?
うん、私も分かんない。
一先ず分かっているのは、オタ充するために取った七日間のお休みが台無しになりそうってことくらいかな。
本当なら今頃は、明日から始まるイベントに思いを馳せ、積みゲー積み本消化計画を立てていた筈なのに。
最初のコメントを投稿しよう!