第四章 恋なんてもうしないと思っていたけれど

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 昨日起きたときも、今日起きたときも、彼氏だの恋活だの何にも言われなかった。  しかもなんでか部屋の隅で膝を抱えてるの。私の方に背中を向けて。 (何かあったとしたら、それは一昨日の事だと思うんだけど……)  一昨日の夜、ナンパで知り合った二人とカラオケに行ったんだけど、実はその時の記憶が朧げだったりする。  だから、マルスの勢いが萎んだのはそこに原因があるのかなって考えているんだけど、どうにも記憶がないんだよね。二人とどうやって別れたのかさえ私は覚えていない。 (確かチアキくんとマスオの話をして……それから──それから……?)  喉を乾いてチアキくんたちが注文してくれたお茶を飲んで──それっきり。  それ以降の記憶はそこだけが靄のかかったように思い出せない。  でもなんとなく……なんとなくだけど、がっしりとした物に包まれたような、そんな気がするんだよね。それも何なのか正体は分からないんだけれど。 (……ちょっぴり、いやほんとちょっぴり、残念というか)  マスオの話で盛り上がったチアキくん。私がアニメ好きだと告白しても引かなかった。
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