19人が本棚に入れています
本棚に追加
マルスの話にはまだまだ続きがある。ひとまず、ちゃんと聞いてあげよう。うんうん。
「でも、その思いとは裏腹に、彼を追い詰めるようなことばかりが起きて──ずヴぅっ」
「うんうん、それで?」
「もう、もうっ、どうにもならなくて……ずびっ、だからもう、彼を助けてあげるにはこうするしかない、ってなっちゃってぇえううっ」
「よよよしよし! も、ほら泣かないで!? そ、それでどうしたの……?」
「そしたら! ヒロイン、黒幕のところにいっちゃったじゃないぃぃ! 画面も暗転して、ヒロインの『私は大丈夫』って自分に言い聞かせる語りと、その後ろで聞こえる衣擦れの音がもう! もう! もう……っ!!」
「──は? ヒロイン? 画面?」
「こんなの、ある意味NTRじゃないのよぉぉぉぉおおおいおいおいおいおいっ」
「ね、ねとってアナタそんな言葉まで!? ──ていうか、どういうこと!? 結局意味分かんないし、とりあえず泣くのをやめて! ねぇ、お願いだから!!」
ついには床に突っ伏して泣き始めたマルスに、私は大いに慌てた。慌てながらも頭の中はハテナでいっぱいだった。
最初のコメントを投稿しよう!