第四章 恋なんてもうしないと思っていたけれど

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 だってそうでしょ。何が悲しいのかって聞いたら、突然ヒロインだの画面だの言い始めるんだもん。  でもなんとなくだけど、なーんとなくだけど……マルスの話に思い当たるものがあるような、ないような。そんな気がする。 (事情をちゃんと聞きたいような聞きたくないような……でも、ここでちゃんと聞いてあげなきゃ絶対落ち着かないよね……)  予想が外れて欲しい、と思いながら私は意を決してマルスに尋ねた。 「ねぇ、結局事情が飲み込めてないんだけどさ、ちゃんと、ちゃんと分かるように教えてくれないかな?」 「おーいおいおいおいおい……ずず、ずびっ! 何って──これに決まってるじゃないのよぉぉぉお!」 「んん!?」  すると突っ伏して泣いていたマルスのお腹から、何かが出て来て目の前に突き付けられた。  ビビットなピンクとグリーンのコントローラーに挟まれた真っ暗な画面。鏡のようなそこに映るのは眼鏡をかけた私だ。この前せっかくコンタクトにしたけれど、面倒くさくて結局眼鏡なんだよねぇ。もったいない。
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