第四章 恋なんてもうしないと思っていたけれど

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 ────ってそんなのはどうでもよくて! マルスが私に突き付けてきたのはなんと、私の●ンテンドースイッチなんだけど!? 大手ゲームメーカーが作ったあの最新型携帯ゲーム機ですよ!!  なんで!? と呆気に取られて何も言えなかった刹那、暗闇がパッと光を灯してマルスが言う『コレ』を映し出した。  黒い薔薇で囲われたゴシックなロゴに、しっとりと切なげなBGM。  背景には抱き合う若い男女の姿。  穏やかな男性の声がタイトルを読み上げた。 『黒薔薇(ブラックローズ)狂想曲(カプリチオ)──さぁ、真実を見つけよう』 「略してブラカプの、アズルートのバッドエンドのことよぉおおお!!」 「乙女ゲームの話かーい!!」  私はがっくりと膝をついた。ていうか部屋の隅で膝を抱えていたのは、ブラカプをやってたからだったのね……。  いやぁ、まあ、でも、マルスがこうなる気持ちも分かる。私も初見プレイ時にアズのルートは最初にバッドエンドに到達しちゃったんだけど、あのシナリオを読んだ時の衝撃たるや……!  黒薔薇は一年前に発売された乙女ゲームだ。
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