第四章 恋なんてもうしないと思っていたけれど

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 そして主人公は大ボスの手に──だけど組織から解放される約束だったアズは結局組織にいて、主人公の犠牲に意味はなくなり、アズの慟哭と大ボスの高笑いでエンド。  ところでこのエンドに大ボスの台詞で『私の子を孕め』っていうのがあったんだけど、本当に耳から孕まされるかと思ったよね。ちなみに大ボスが隠し攻略対象で、アズの他三人の全ルート攻略で解放されます。あ、あと十八禁ではないです。はい。 「あーあもう……心配して損した……」 「アタシ、アタシ……うぅ──心配って、アタシを? どうして?」 「急に正気に戻らないで……」  マルスの涙と鼻水がティッシュの中に盛大な啜り音と共に消える。次の瞬間にはマルスは何事もなかったかのようにけろっとしていた。切り替え早いな。 「はぁ……だって、急に恋だのなんだの言わなくなっちゃったじゃん。スマホも返してくれたのはありがたいけど、急に大人しくなっちゃったから……その、一昨日何かあったのかな、って」  ほら、私覚えてないから。そう言うとマルスの長い睫毛が静かに伏せられた。 「アタシの……せいよ」 「え?」
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