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――ヒヒーン。
扉を隔てた向こうから嘶く声が飛び込んできた。
背後で弾かれた風に駆け出して扉をバンと開く音が響く。
「姐さん、見て」
振り向くと、霹が目を輝かせて小雪のちらつく外を示していた。
「雪鳳(せつほう)が治ったよ」
ひ弱でこのまま病で死ぬかと私としては諦めていた仔馬だ。
「もうすっかり元気ね」
霹はきっと持ち直すと主張して今日まで懸命に面倒を見ていた。
「だから言っただろ」
雪の舞い散る中、まだ華奢な脚で懸命に駆ける仔馬の姿に少年は晴れやかに笑って告げる。
「今に天下を駆け巡るさ」(了)
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